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きのかちゃん

きのか特許事務所のマスコットキャラクター。知的財産権制度に詳しい、みかんの妖精。

甲田太郎

大手ゲーム会社を辞め、ゲーム開発会社「KODASH」を創業するべく準備中。
会社名を考案し、登記をしようと思ったところで、きのかちゃんに止められる。
そして、きのかちゃんから知的財産権制度について学んでいる。

早乙女うめ

梅ドリンクが名物のカフェ「Plumn」を経営している。
商標権侵害の警告を受けて慌てているときに、きのかちゃんと出会う。
そして、きのかちゃんから知的財産権制度について学んでいる。

特徴その3:商標権は、更新すれば半永久的に続く

商標権の保護期間は、設定登録の日から10年です(商標法第19条第1項)。しかし商標権は、商標権者の更新登録の申請により、更新することができます(商標法第19条第2項)。費用さえ支払えば何回も更新可能です。ちなみに10年更新を事務所に依頼する場合、43,600×区分数+事務所手数料です(2022年9月現在)。

つまり商標権は、更新することで、半永久的に存続させることができます

更新できるのは、産業財産権のうち商標権だけです。
その理由は、商標法の目的にあります(マンガでわかる知的財産権第3回参照)。
商標法が守りたいもの、それは「ビジネスをする者の信用」。信用は商標を長年使用し続けることで蓄積されていくものなので、保護期間を10年に限ってしまうと、法目的に根本的に反することになってしまいます。したがって更新することで、長年独占できるようになっているのです。

ちなみに登録されれば安心、というわけではありません。更新を忘れてしまうと、権利が消滅します。登録後、商標登録に瑕疵があることを指摘された場合には、取消や無効になることがあります(異議申立制度、無効審判制度)。また「特徴その4」に示すように一定期間使用していない場合や、使用が適切でなかった場合には、取り消されることがあります(各種取消審判制度)。

特徴その4:商標登録、使っていないと取り消されるかも!?

登録商標を3年間に1度も使っていないと、登録を取り消される可能性があります。「不使用取消審判」という、商標法独自の制度によるものです(商標法第50条第1項)。

「不使用取消審判」は、誰でも請求することができます。したがって商標権者が登録商標を使っていない場合、その登録商標を使いたい誰かが不使用取消審判を請求するかもしれません。

使用していることを商標権者が証明できなければ、登録は取り消されることとなります。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

ちなみに取消審判は他にも、「商標権者の不正使用による取消審判」、「商標権移転による不正使用の取消審判」、「使用権者の不正使用による取消審判」、「代理人等の不正登録による取消審判」(商標法第51条~53条の2)があります。こちらは追々、ご紹介できればと思います。

つづく…

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